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『神々のたそがれ』を観て。

ロシア映画 2010年代の映画

数日前ではあるが、SF映画の『神々のたそがれ』を観た。これまたgeoでフィーチャーされていたので思わず借りてしまった。んで、借りた後に小島監督のヒデチューのランキングでランクインしているのを知った。「昔のSFはぐろい描写がたくさんあったんだ」と話されていた記憶がある。

まさに小島さんの仰る通りだった。とても汚らしい映像がわんさか。糞尿、吐しゃ物、尻、性器、便器などなど。繰り広げられる会話も臭いに関するものばかり。なぜこんな描写ばかりなのかというと、SF映画ということで地球とは異なる惑星の話であるのだが、その惑星の文明レベルが中世ヨーロッパのそれなのである。衛生意識が現代より遅れており、それをリアルに描いているのだろう。この星にとって汚いのが普通であるならば、会話に関して「臭さ」が強調されないのではないか、とも思ったが。

ただ救いはある。それはモノクロ映像であることだ。これがカラーであってみろ。恐ろしいことになる。

さて、この映画はVRで観たいと思った。なぜなら、この映画は(おそらく)地球から調査・観察のためにやってきた観察者の視点によって物語が進むからである。基本的には、同じく観察者である主人公ドン・ルマータを追い、彼と彼が調査する王国アルカナルの国民たちとのやり取りを描いている。そして、それは多くの長回しの連続によって構成されているのだ。ルマータは敷地内をゆっくりと歩き回り、遭遇する人物たちとコミュニケーションをとる。その切れ目のない一連の視点をVRで観てみたい。その体験に中世へのタイムスリップを予感してしまう。

こういう作品はいくつかある。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、『ハードコア・ヘンリー』、『クローバーフィールド/HAKAISHA』などがそうだ。それぞれの何を楽しみにしているかは書かないが、これらの映画の視点は特徴的なので、是非VRで体験したい(一番『神々のたそがれ』のカメラワークに似ているのは、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』かな)。

では物語について。あまり覚えていないけど、かなり雑なあらすじを書く。

地球から調査のためにある惑星に訪れる観察者たち。彼ら(の一部?)はアルカナルという王国の調査を開始する。彼らの内の一人はアルカナルの地においてドン・ルマータと名乗り(あるいは命名され?)、アルカナルにいくつかある領の首領として、アルカナルで横行している知識人狩りに抵抗する。ルマータは知識人狩りを行う組織から命を狙われるも、その弁舌によって難を逃れる。しかし、(紆余曲折あり)恋人であるアリを殺される事態になり、その復讐として、殺害者たちを虐殺するのである。...

こんな感じである。で、この映画を観て思い出したのは、文化人類学者の参与観察である。参与観察とは、文化が「劣っている」地に訪れ、その地に住む人々の生活に溶け込み、その文化を調査・観察する行為だ(たぶん)。ただ、ルマータは調査・観察の域を超えている。自らがドン(首領)となり、積極的に調査対象の文化に干渉しているからだ。かつて自分たちが通った道である中世から文明開化が起こる流れをアルカナルに経験させようとする西洋人の傲慢さをルマータの行動に見ることができよう。事実、彼は虐殺した後、「神になることは辛い」と語り、自身を神と称している。傲慢以外の何者でもない。

ああ、時間がないのでここまで。

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